私が温泉へ入浴する目的
主として「温泉の鮮度と還元系」の主観的実感体験・確認と記録(撮影・記事)が目的です。
1. 非日常感(秘湯・歴史・気候・地域食材・郷土食)を現地・現物・現実で確認し撮影記録する
※脱衣所・浴槽への撮影機器持込だけでも盗撮疑義というご時世なので禁止区域の撮影はしていません。施設の撮影許可を受けて第三者立ち合いの場合のみ撮影することがあります。
2. 温泉分析書の成分確認(特にミリバル%)や運営方法の表示等から想像した泉質と実際に入浴感の差異を実感したい。「温泉分析書をホームページで公開している施設は信頼できる」の実証現認。
3. ホームページで宣伝している内容と実際の運用の差異確認。
※表示は企業・施設・運営者の品格が現れます。メリットを強調し過ぎて誇大広告的表現になっていないかも大事。温泉法で義務化された項目以外の「自主的な情報提供」をされている施設は信頼感あり。
4. 温泉名人、温泉観光士、温泉ソムリエ分析書マスターなどの資格知識や日本温泉科学会、日本温泉地域学会で知りえた学術的な情報・知見を活用したい。
5. 温泉入浴による実際の精神的・肉体的効果確認。
※病気や怪我を治療する目的としての温泉利用はしていません。また、泉質別の適応症は効能ではなく、効果が期待できる症例紹介です。自身の変化の確認が目的です。
片岡温泉(アクアイグニス,三重県菰野町)事例で説明
p.H.8.5。お湯としては気持ち良いのですが、スベスベ湯的には行ったばかりの八方温泉のp.H11.2のアルカリ泉ほどではないという印象でした。



残念ながら事前に温泉分析書を確認したかったが、ホームページには掲載されておらず、現地確認。
よほど公開したくない事情があるのかなという疑念が湧くも、現地ではきっちりと情報公開されているので一安心。最低限、温泉分析書はホームページに掲載してくれているとありがたい。
でも、法律で義務付けられているのは「温泉成分の掲示(温泉分析書そのものでなくとも良いが、源泉、泉質、温度、成分、分析日、分析機関名)」、「禁忌症の掲示(適応症の掲示は義務ではない)」「入浴や飲用上の注意の掲示」「入浴剤の名称と理由の掲示(入浴剤を加えている場合)」「消毒の方法とその理由の掲示(温泉を消毒している場合)」「加水や加温、循環利用など、温泉成分に影響を与える項目の掲示事項の変更」ということで、必ずしも登録分析機関が策定する温泉分析表を掲示する必要は無い。上記の適正な内容の掲示を見やすい形式で行うことは必要(環境省HPより)。
↓ 温泉法表示義務内容

私のように温泉分析書の「ミリバル(%)」で成分構成を確認したいと思う人もいるので、是非とも温泉分析書を公式ホームページにそのまま掲示していただきたい。
そして、施設がきちんとした管理をしているかという目安が、「自主的な情報提供として意義があると考えられる事項」。
・加水する場合、水道水、井戸水、沢水等の別
・源泉の状況(ゆう出量、揚湯方法、pH値など)、源泉から利用の場までの供給方法・供給量
・温泉利用施設の清掃の状況及び湯の入替頻度
上記がそれに該当し、「日本温泉協会」の会員施設にはそれがきっちりと表示されています。
特に「引湯の距離」や「清掃頻度・新湯入替」は温泉の鮮度と還元系に関わる重要な情報です。
自主的な情報まで開示しているというのは信頼の証ですね。片岡温泉は信頼に値する温泉施設だということがわかります。

↑上記温泉利用証の右側下部に「添加」項目があり、その右側に「消毒なし」と表示されていることを記憶しておいてください。
温泉分析書の内容解説
温泉分析書を見ると、温泉の高張性・低張性を決める成分総量である「溶存物質(ガス以外)」は540mgで温泉基準・療養泉基準値の1,000mgの約半分で低張性の薄い成分。
その他成分内容を見ると、温泉基準値を超えた項目は源泉温度とフッソイオンとメタホウ酸(黄色塗りつぶしの赤色文字)。
療養泉基準値を超えているのは源泉温度だけという寂しい成分数値。
特殊成分で療養泉基準値を超えている成分がないものの、源泉温度のおかげで単純温泉という泉質名が名乗れます。
時折、思い違いする人がいて、硫黄泉とか炭酸泉とかつかない場合は単純温泉に分類されると思っている人もいたりする。単純温泉は源泉温度が25℃以上あるも、溶存物質(ガス除く)が1,000mg未満なのが“単純温泉”。
これ、実際に他の温泉施設で見ました。「泉質名無し」なのに「単純温泉」と名乗った上、療養泉じゃないと表示できない「療養泉分類に基づく浴用適応症」まで表示していた(ˇ_ˇ)。観光客向けの温泉雑誌でもたま~に見かけます。
片岡温泉のように、自然に湧き出る泉源が無い場合、深い位置まで掘って(大深度掘削)高い温度の地下水を動力で汲み上げる必要があります。
深度1,000m以上の掘削により温泉を採取している温泉を「大深度温泉」と言います。
地域によって異なるが、「伊勢・志摩・鈴鹿地方の地下1,000 m以上の大深度温泉の経年変化」(温泉科学2012年より)のデータで見ると、片岡温泉と同じ1200mの程度の三重県中・北部の大深度温泉の泉温は50.7℃(2004年)、43.8℃(2006年)、22.8℃(2003年)、53.8℃(2008年)、40℃(2008年)となっている。
おおよそ、1000mを超えればなんとか温泉基準値(25℃)を超え、1200m~1300mで加温しなくともすむ45℃付近の温泉が期待できる。
片岡温泉のように加温・加水無しで運用できるのは大深度掘削と運に恵まれないといけません。
「溶存成分が薄い」とか文句を言うとバチが・・・。
少ない溶存成分の温泉にはもう一つ課題があります。
それは成分に大きく影響を与える「お湯の循環運用」で、特にアルカリ性の温泉は次亜塩素消毒に不安がある(滅菌効果不足で保健所の指導事例)他、当然、さらに温泉成分が減衰するリスクがあります。
片岡温泉の場合で言うと、温泉基準値をわずかに超えているフッソとメタホウ酸が微妙かなあ。
当温泉の運用は「加水なし・加温なし・循環無しの通称“源泉かけ流し”」。
当温泉の湧出量は700ℓ/分(天然温泉表示看板は530ℓ/分)で、一般にかけ流しに必要な一人当たり1ℓからすると、繁忙期にやや不足するかも?といったところでしょうか(私的推測です)。
とはいえ投入量は70ℓ/分なので、浴槽の規模からすると、投入量としてはそこそこある。
ここまで書いて気付いたが、温泉分析書の右下に重要な情報が記されている。
↓ 「消毒方法」が詳細に記載されているが、前述の日本温泉協会の表示では「消毒無し」となっている。日本温泉協会の表示とは異なりますが、当施設は保健所の指導により表示の内容で消毒しているるようです。検査も定期的に実行されていて、この消毒方法により、レジオネラ症対策等、高度に安全を担保しようと努力されていることがわかる反面、成分に与える影響がどの程度なのか気になりますね。

入浴感想と還元系チェックポイント
上記のような前提条件を頭に入れて、片岡温泉に入浴。
まず、温泉成分というよりはp.H8.5のアルカリ性のおかげでヌルヌル感があり、なんとなく肌がツルツルしているように思われる。
ただ、大事なのはヌルヌル・ツルツルではなく、この後の皮膚の活性化。
要するに石鹸で汚れを落としただけの今の状態から美肌になるかどうかは温泉が新鮮で活力があるかどうかにかかっています。
これは「酸化還元電位」で評価することができるという説がある。
ただ、成分との関係性による影響であったり、テスターで計測した数値データを25℃に温度補正したり、還元系判断は一般人には困難というデメリットがある。
では「活性化」をどう判断するか。優先順に揚げると
1. “ぶくぶく”足元湧出。源泉の湧いている場所に浴槽があり、空気に触れる前の新鮮で活力がある温泉が浴槽の底から豊富に湧き出ていて、そのままかけ流されている。
(当施設は嗜好する「足元湧出」ではない)
2. 源泉が湧き出た場所からできるだけ近い場所に浴槽がある。
(当温泉は300m引湯なのでまだ近い方)
3. 温泉がドバドバ投入されていて、溢れたお湯で浴槽外の桶が流されている
(当施設の入替時は70ℓ/分だが、通常時はドバドバ投入感はない。活性力維持については個人の判断次第だが、乏しいのではと思う)
4. できれば湯を入れ替えた直後。入浴客が少ない時間帯に入浴。
(宿泊しないと無理)
5. 貯湯されていない。(湧き出た温泉を一時ストックしていない)。集中管理温泉ではなく、自家源泉を持っている。
(当施設は自家源泉のようです。貯湯かどうかは不明)
6. 最低限の条件として、源泉をそのまま未加工(加水無し・加温無し)でかけ流し。浴槽内には常に新鮮なお湯が投入され、滞留することなく浴槽から排出されている。
(当温泉は未加工ではなく、安全性を高度に担保するため、保健所の指導で次亜塩素消毒した源泉をかけ流し運用)
7. 客のマナーが良い。浴槽に入る前に体を洗う。最低限、全身にかけ湯をする。浴槽に0.5g以上の自分の汚れを落とさない。
(今回は入浴時にかけ湯しないでいきなり浴槽に入ってきた人がいたのがちょっと残念。「入浴前の洗身や清保」案内を大きく表示すべきと思う)
「源泉かけ流し表示」で喜んでいてはいけません。大切なのは「鮮度」と「活性」を維持するための新湯投入量が大事。
これは私の好みであって、世の中には酸化され、温泉成分が沈殿したり蒸散したりして、成分が安定状態のエージング(老化)した温泉を好む人もいます。
という前段のあと、入浴感想。
「あ~気持ちよかった」。
アルカリ性の単純泉らしいヌルヌル感がありながらも、特殊成分も少ないのであっさり感のあるお湯で、少々のクレンジング効果(汚れ落とし)もある。
美肌になるかどうかは・・・。
面白いのは白布温泉 中屋別館不動閣のように、外の景色が横並びで眺められるように横長浴槽になっていること。
↓ 撮影機器持込禁止のため、片岡温泉HP画像より。

横長の浴槽には自分用のお湯の注ぎ口が等間隔で設置されている。
良く研究されているという印象です。
でも投入量はちょっと少ないかな~。残念。
↓ 参考画像白布温泉 中屋別館不動閣HPより

温泉棟はさすが赤坂知也氏、ミヤケマイ氏のデザインは“センス嫌い”の食彩品館.jpも納得できる。
そして休憩所等のデザイン。売店の前にある椅子もカッコ良い。
贅沢な造りで客をもてなすだけではないリゾート施設の在り方を教えてくれました。
ちなみにアクア(水)×イグニス(火)で「温泉」というコンセプトだとは知りませんでした。

【参考】温泉と鉱泉の違いについて




□片岡温泉
℡059-394-7733
営業時間 6:00〜24:00
・源泉掛流し。加水・加温・循環なし
・地下1200m
・源泉温度47℃
・湯温42℃前後
・毎分700ℓ湧出で70ℓ/分投入
・療養泉分類に基づく浴用適応症
(「適応症(入浴により改善が期待できる症状)」であり、効能ではないので表現に注意)
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消火器病・痔疾・冷え性・病後回復期 疲労回復・健康増進。
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◇温泉成分を詳しく知りたい人にお勧め温泉書籍

▢温泉を知る 信濃孝一著

・超お勧めの温泉参考書。温泉分析書を道しるべにした温泉案内。ヨーロッパの温泉事情も収録。紹介温泉の源泉成分数値まできちんと紹介されているのが好印象。

温泉を知るー温泉分析書を道しるべにした温泉案内ー 新装版
・超お勧めの温泉参考書。温泉分析書を道しるべにした温泉案内。ヨーロッパの温泉事情も収録。紹介温泉の源泉成分数値まできちんと紹介されているのが好印象。
▢続 温泉を知る 信濃孝一著

・超お勧めの温泉参考書。前著で説明をほとんど省略した含よう素泉および化石海水温泉について詳しく説明。

続 温泉を知る
・超お勧めの温泉参考書。前著で説明をほとんど省略した含よう素泉および化石海水温泉について詳しく説明。
▢温泉の科学 佐々木信行著

・超お勧め。温泉の科学、特に成分と効果や利用方法等をわかりやすく解説。詳しく温泉のことを知りたくなった人に、最初の一冊としてお勧め。温泉の基本的知識が紹介されている。

温泉の科学 佐々木信行著
・超お勧め。温泉の科学、特に成分と効果や利用方法等をわかりやすく解説。詳しく温泉のことを知りたくなった人に、最初の一冊としてお勧め。温泉の基本的知識が紹介されている。
▢生きている温泉とは何か 大河内正一著

・私の愛読書。ある程度、温泉分析書の内容が理解でき、且つ温泉行を繰り返している方に推薦。温泉成分効果がより期待できる「還元系」を見極める方法を詳しく解説。それまでの自分の温泉旅行先選びが間違っていたことを痛感させてくれた本。

生きている温泉とは何か
私の愛読書。ある程度、温泉分析書の内容が理解でき、且つ温泉行を繰り返している方に推薦。温泉成分効果がより期待できる「還元系」を見極める方法を詳しく解説。それまでの自分の温泉旅行先選びが間違っていたことを痛感させてくれた本。
◇温泉旅行の計画のための本
▢本物の名湯ベスト100 石川理夫著

・私の愛読書。成分・泉質と歴史的雰囲気を求める温泉旅行でどれか一冊と言われたら当書を強力に勧める。
・著者である石川氏を中心に愛好家・専門家3名で選定したとか(石川氏本人談)の推薦100温泉は当方の嗜好と合致することが多いのも推薦理由。温泉旅行を特集する雑誌系の温泉地も含まれている。

本物の名湯ベスト100 (石川理夫)
・私の愛読書。成分・泉質と歴史的雰囲気を求める温泉旅行でどれか一冊と言われたら当書を強力に勧める。
・著者である石川氏を中心に愛好家・専門家3名で選定したとか(石川氏本人談)の推薦100温泉は当方の嗜好と合致することが多いのも推薦理由。温泉旅行を特集する雑誌系の温泉地も含まれている。
▢温泉の歴史 石川理夫著

・石川理夫氏は私が所属する日本温泉地域学会会長。温泉と観光を歴史的に記紀の古湯、武将の隠し湯、温泉番付等で解説。歴史好きや旅行好きにお勧め。

温泉の日本史 – 記紀の古湯、武将の隠し湯、温泉番付
・石川理夫氏は私が所属する日本温泉地域学会会長。温泉と観光を歴史的に記紀の古湯、武将の隠し湯、温泉番付等で解説。歴史好きや旅行好きにお勧め。
▢一生に一度行きたい温泉 石川理夫監修

・「本物の名湯ベスト100(石川理夫著)」で紹介された温泉地・温泉宿を中心に美しい画像付きで紹介。旅行系雑誌とは一線を画す。

一生に一度は行きたい温泉100選 新装版
・「本物の名湯ベスト100(石川理夫著)」で紹介された温泉地・温泉宿を中心に美しい画像付きで紹介。旅行系雑誌とは一線を画す。
▢ぶくぶく自噴泉めぐり 奇跡の湯 改訂版


・誰にも紹介したくない愛蔵書。「改訂版」はなかなか出回らないし、中古本はプレミア価格。よって、私はKindle版を購入した。掘削せずに温泉が自然に湧き出る場所に浴槽をしつらえた湯底自噴に焦点を当てた「足元湧出泉」に特化したガイドブック。ただ、紹介されている温泉でも、「男湯だけ」とか「足元湧出」よりも追加投入される「酸化済老化源泉」の方が多い施設があったりするのも楽しい。足元湧出だけの浴槽ってもっと少ないように思うが、こればかりは行ってみないとわからないし、聞いても教えてもらえないことが多い。

ぶくぶく自噴泉めぐり 奇跡の湯 改訂版
・誰にも紹介したくない愛蔵書。「改訂版」はなかなか出回らないし、中古本はプレミア価格。よって、私はKindle版を購入した。掘削せずに温泉が自然に湧き出る場所に浴槽をしつらえた湯底自噴に焦点を当てた「足元湧出泉」に特化したガイドブック。ただ、紹介されている温泉でも、「男湯だけ」とか「足元湧出」よりも追加投入される「酸化済老化源泉」の方が多い施設があったりするのも楽しい。足元湧出だけの浴槽ってもっと少ないように思うが、こればかりは行ってみないとわからないし、聞いても教えてもらえないことが多い。
▢日本の秘湯第22版日本秘湯を守る会

・「行きたい温泉」が秘湯の会の温泉宿であることが多い。会のサイトと宿の公式ホームページや電話で予約すると宿で秘湯スタンプを押してくれ、10個貯まると1回無料で宿泊できる。
・1977年(昭和52年)に38軒を掲載した公式ガイドブック初版が発売され、現在22版が147軒掲載で販売されている。最初に購入したのは第7版(1991年)だが、第4版、第5版、第6版、第8版も持っている。第1版から第3版を探しているが、なかなか出回らない。

▢とっておきの源泉かけながし325湯

・北海道から沖縄まで、良質な源泉を求めて各地を旅する方向け。かけ流し温泉宿と日帰り325湯を紹介。かなりレアな温泉も紹介されている。

とっておきの源泉かけ流し325湯
・北海道から沖縄まで、良質な源泉を求めて各地を旅する方向け。かけ流し温泉宿と日帰り325湯を紹介。かなりレアな温泉も紹介されている。温泉博士×弁護士が厳選
▢すごい温泉100 渡辺裕美監修

・へぇ~と感心するような見事なルックスの浴槽から鄙びた感まで、ディープな温泉行をしたい方向け。変わり種温泉を中心に紹介。

行きたい! 残したい! すごい温泉100
・へぇ~と感心するような見事なルックスの浴槽から鄙びた感まで、ディープな温泉行をしたい方向け。変わり種温泉を中心に紹介。
□秘湯野湯濃い温泉100 旅の手帳

・温泉を巡っていると最初は「入浴の気持ちよさ」や「非日常感のある景色」「地元食材の料理」に感動・満足するが、次第に「この温泉って源泉かけ流しじゃないの?」とか「ツアー会社やホームページの宣伝内容と違う」とかいろいろ気付くようになった人向けの旅行計画本。最低、このくらいの温泉は行っていないと、他人に「温泉好き」とは自己紹介できない温泉地がラインナップ。野湯はともかく(^ー^)。

秘湯野湯濃い温泉100 旅の手帳
・温泉を巡っていると最初は「入浴の気持ちよさ」や「非日常感のある景色」「地元食材の料理」に感動・満足するが、次第に「この温泉って源泉かけ流しじゃないの?」とか「ツアー会社やホームページの宣伝内容と違う」とかいろいろ気付くようになった人向けの旅行計画本。最低、このくらいの温泉は行っていないと、他人に「温泉好き」とは自己紹介できない温泉地がラインナップ。野湯はともかく(^ー^)。
▢ノジュール

・JTBの旅の本だが、温泉も時折、紹介される。雰囲気がある、いかにも意識高い系の人々向けの宿が紹介されている。ライターが温泉の専門家でないこともあったりして、時折、宿の受け売り宣伝情報をそのまま記していることがあるので鵜呑みしないこと。アマゾンでも購入可能だが少々お高め
□ドバドバ温泉バイブル

ドバドバ温泉バイブル
・ザンネンな源泉掛け流し温泉に当たらないため、湯量が豊富な温泉=新鮮でいいお湯という考え方のもと、湧出量が豊富な温泉を100湯紹介。
□おとな「ひとり温泉旅」のススメ

おとな「ひとり温泉旅」のススメ
・「出会えたら奇跡のコバルトブルー温泉」はともかく、「なんと、飲める温泉がある」ということを知らない人向けの入門書。「現代湯治」のひとつなのかもしれません。ただし、「温泉医学の専門家である前田眞治先生の解説付き」という表示に惹かれて注文してしまったのでした。前田眞治氏は私も所属する日本温泉科学会の会長(2024年時点)を務めている温泉界の重鎮です。
▢侘寂温泉 魚谷裕介著
□東日本編

歴史や文化を感じるだけでなく、さらなる鄙びた感を追い求める方向け。どちらかというとマニアック。基本的に人気のある有名観光的温泉ではなく、ほとんど行ったことのない温泉が紹介されているのが嬉しい。インバウンドに紹介される前に行っておきたい温泉。

侘寂温泉 魚谷裕介著 東日本編
・歴史や文化を感じるだけでなく、さらなる鄙びた感を追い求める方向け。どちらかというとマニアック。基本的に人気のある有名観光的温泉ではなく、ほとんど行ったことのない温泉が紹介されているのが嬉しい。インバウンドに紹介される前に行っておきたい温泉。
□西日本編

・風情と味わいをテーマにした温泉紹介本の西日本バージョン。天然温泉公衆浴場 はまゆ(勝浦温泉)と村之湯温泉(指宿温泉)以外は入ったことがない。“渋い”温泉ばかり紹介されている。特に勝浦から湯川にかけて名泉がいくつもある中、「はまゆ」を取り上げているのが専門書的で嬉しい。

侘寂温泉 魚谷裕介著 西日本編
・風情と味わいをテーマにした温泉紹介本の西日本バージョン。天然温泉公衆浴場 はまゆ(勝浦温泉)と村之湯温泉(指宿温泉)以外は入ったことがない。“渋い”温泉ばかり紹介されている。特に勝浦から湯川にかけて名泉がいくつもある中、「はまゆ」を取り上げているのが専門書的で嬉しい。
◇玉川温泉関連書籍

▢玉川温泉湯治の手引き 改訂版 前田眞治著

・新玉川温泉で購入。玉川温泉と新玉川温泉の違いや大噴源泉から各浴槽に投入された成分分析だけでなく、100%浴槽と50%浴槽の成分変化も具体的な数値付きで紹介されている。この本を読んだのがきっかけで温泉の勉強を始めた。改訂版の著者は、私も所属する日本における最古の温泉学会である「日本温泉科学会」の会長です。さすが医学者という内容の解説だが、非常にわかりやすい。観光ではなく、玉川温泉で湯治体験したいという方向け。
▢玉川温泉湯治の手引き 足沢三之介,杉江忠之助著

・改訂版の差異確認のために購入。なかなか出回らないが、価格を気にしなければ手に入りやすい古書。雪崩事故後に撤去された露天風呂の入浴表紙画像がほほえましい。良い時代でした。
▢玉川温泉 公式ガイドブック

・ちよっと古いがビジュアル的に紹介されている。特に入浴の仕方は岩盤浴もあってわかりやい入門書としての利用を意識した内容。時折、古書で販売されている。く
▢秘湯・玉川温泉 無明舎出版

・玉川温泉入門用の本だが、内容は詳しい。特に歴史や利用者の体験談は興味深い。温泉も効果主体の内容になっているのがちょっと気になる。
▢玉川温泉 北投石の秘密 安陪常正著

・玉川温泉の北投石の効果について詳しく解説。病気治療の参考書。
▢ラドン浴の実践 ホルミシス臨床研究会

・温泉というよりはラドン浴の医学的な解説本で専門医がデータ等のエビデンスを添えて治療事例紹介。世界各地のラジウム泉の紹介の中に玉川温泉における岩盤浴地の放射能測定データが紹介されているのが珍しい。地面が温かい場所からの放射線量は無いか微量で、冷たい場所の放射線量が多い(と、いっても人体に影響を及ぼす程ではない)という事実を知ったのは当書のおかげ。岩盤浴地のデータ紹介は他にもあるが、書籍によってデータ数値が異なるのも注目。ただの個人的体験談ではないところが興味深い。
◇温泉資格及び学術学会

▢日本温泉科学会


・1939年(昭和14年)に創立された約80年の歴史をもつ温泉に関する総合科学の学会。日本温泉科学会としての設立は1941年(昭和16年)で学会誌「温泉の科学」が発刊されている。入会には紹介者が必要。私は大学の本部役員を務めていた時代に知り合った方に紹介していただいて入会。地球物理学、地球化学、地質学、水文学、医学、薬学、生物学、工学、社会科学などの研究者のほか、温泉探査、掘削の技術者、温泉の管理者、行政関係者、経営者など、温泉に関わる幅広い分野の人々で構成。
・2024年現在の会長は医学博士の前田眞治氏。

日本温泉科学会170温泉のサイエンス
・温泉というよりは源泉を科学的な観点で紹介,評価した書。良い点は源泉の湧出地の地形や源泉数,湧出量,成分数値の紹介等々、さすが科学者が集まった学会の書籍。面白いのは重要度によってページ数を複数にしたり,半分にしたりしていて科学者が評価する温泉地がわかりやすい。また形容詞や私的感想がなく、データ等の客観的事実のみに絞っていることも好印象。
残念なことは源泉にこだわるあまり、肝心の浴槽の運用方法についての紹介が無いのは残念。何にしても資料の出処をきちんと紹介してくれているのがありがたい。あと,溶存物質計と成分総計の両方を表記してくれていたら,フィールドワーク専門私のような末端学会員には嬉しい。
・現代湯治全国泉質別温泉ガイド(日本温泉科学会 監修)

現代湯治全国泉質別温泉ガイド(日本温泉科学会 監修)
・温泉地に長期間滞留して温泉療養を行う古来より行われてきた湯治。「現代湯治」は長期の疾病治療ではなく短期でもストレス解消やリラックス効果を求めて訪れる行為。日本温泉科学会の監修で、湯治歴史や正しい入浴方法の紹介。そして全国約3,000か所の温泉地の中から10種類の泉質別に主たる温泉地を選定紹介。
▢日本温泉地域学会


・2003年(平成15年)設立。日本の温泉地に関する人文・社会・自然の総合的な研究の場であると共に、各温泉地の諸問題の解決に寄与することを目的とした学会。
温泉観光士養成講座受講を記念して入会。
・2024年現在の会長は石川理夫氏。
▢温泉観光士


・「日本温泉地域学会」による「温泉観光士養成講座」。
・2日間、9コマの講義で最後にテストがあります。合格点は不明ながら、参加者全員が合格していたので、2日間の講義を受けて、テストを受ければ合格できるのかなといった印象ながらも、第3回の温泉検定では合格率90.6%だった(観光経済新聞記事より)らしいので、不合格の人がいるのかもしれませんね。
ちなみに満点は1人ということですが、私の正解率は前述の温泉名人検定よりも良好でしたよ。!(^^)!。
先に結論から言うと、講義される方のレベルが高く、且つ、内容が充実していて非常に楽しい講座だったことを記しておきます。
「温泉観光士」は温泉ソムリエほど知名度がないものの、温泉好きでより深く勉強したいと思われる方は是非とも受講をおすすめします。
どちらかというと、「温泉を楽しむ」というよりは学術寄りの内容でした。
▢温泉名人


・日本温泉協会の「日本温泉名人認定試験」。
2023年3月12日9時30分~18時にかけて千葉県の流通経済大学新松戸キャンパスでセミナー受講後、当日に温泉検定試験を受けて、規定点数(36点/60点)以上で「本温泉名人」に認定されます。
・セミナー内容は下記の通り。
9時30分受付
・セミナー1 温泉法学(50分)周作彩氏
・セミナー2 温泉医学(50分)前田眞治氏
休憩・自由昼食(60分)
・セミナー3 温泉総論(50分)坂寺一洋氏
・セミナー4 温泉地学(50分)大山正雄氏
・ セミナー5 温泉化学(50分)加藤尚之氏
・セミナー6 温泉観光学(50分)高橋裕次氏
・温泉検定 試験開始(60分)
18:00 試験終了・解散
・テスト内容としては後で受験した「温泉観光士」の認定テスト同様に結構、深い内容のものもあるが、事前にテキストを一通り読んでセミナーを真面目に受講していればほぼ合格できます。まったく知識を持たない方が受験するとしたら、相当、講座内容とテキストを読み込む努力が必要かと。
私はその前に温泉ソムリエ講座や温泉分析書マスター講座を受けていたので合格点以上は余裕で取ることができたものの、温泉認定試験の中では難易な部類だと思います。
セミナー内容としては学術分野が中心で、温泉ソムリエが「一般人が温泉をより楽しむための知識」であることに対して、温泉名人は「温泉研究者と運営関連施設者・管理者による教育で実践的で且つ学術的な温泉知識を深める」といった印象でした。
尚、温泉ソムリエのセミナーと違って首都圏のみでの開催であることや開始時間の都合から前泊しないといけないため地方在住者は少々、経済的な支出が多くなります。
▢温泉ソムリエ





・温泉ソムリエについては学術的内容よりも「より温泉を楽しむ」ことを目的にされているのかなという印象。
温泉ソムリエはweb講座で受講したが、実際の講座も全国各地で開催されているため、他の資格講座に比べて参加しやすいというメリットがあります。
確認テストはあるものの、テストに合格しないと認定されないということはありません。私はあえて、認定確認試験(有料)を受験しましたが、特に難しい試験ではありませんでした。
他人に「私、温泉ソムリエよ~」と自慢したい方向きです。
でも、温泉の科学とか電位変化とか逆質問されたら答えられるだけの知識と体験がない場合はあまり他人に自慢しない方が良いかもしれません。
観光案内や美容関係の仕事に従事されている方は営業的なメリットはあるかもしれません。
・温泉ソムリエ認定は28,490名(2024年1月確認時)に対して、温泉ソムリエ認定者が受験する温泉ソムリエ検定合格者は2,149名と、圧倒的に少なくなります。ちなみに私の合格者番号は「1981番」と紹介されいる。
・さらに認定者が「温泉ソムリエのステップアップ講座」を受講すると「★付温泉ソムリエ」になります。人数としては3,898名で温泉ソムリエ28,490名に対する希少性は段違いとなりますね。私はリストの「3,450番目」となっています。
・「★付きのステップアップ認定」は「温泉ソムリエ温泉分析書マスター認定者1,994名」、「温泉ビューティソムリエ,ダイエット温泉ソムリエ認定者(724名)」、「温泉ソムリエ地域活性化マスター(421名)」、「外部資格による温泉ソムリエマスター認定者(1,339名)」があり、私は温泉ソムリエ温泉分析書マスター認定者リストの「1,887番」です
・温泉ソムリエはこの「★付」以上になることを強くお勧めします。

▢温泉の資格取得体験記
・温泉の資格取得。温泉観光士,温泉名人検定,温泉ソムリエ,温泉ソムリエマスターの違い。日本温泉地域学会,日本温泉科学会,日本温泉協会,
・温泉ソムリエ講座(2022年11月web講座受講)
・温泉ソムリエ認定確認試験合格(2023年2月)
・温泉ソムリエステップアップ講座
(温泉分析書マスター認定2023年4月)
・日本温泉協会 温泉名人認定(2023年3月)
・日本温泉地域学会 温泉観光士認定(2023年11月)

▢温泉書籍を探す
・アマゾン
温泉記事
・2024/12/18【温泉の資格とお勧め書籍について紹介を追記】【源泉かけ流しという表示だけで温泉を選んでしまっている方向け】温泉入浴効果を期待するなら“温泉の鮮度”と“還元力”を確認すべし。
・2024/03/24水上高原上の原温泉,水上高原ホテル200宿泊記。源泉の温泉分析表と浴槽の温泉分析表のデータが違う件。
・2024/03/10稲取温泉,はまべ荘(静岡県東伊豆町)伊豆稲取地キンメの1kgオーバー
・2024/02/03温泉の資格取得。温泉観光士,温泉名人検定,温泉ソムリエ,温泉ソムリエマスターの違い。日本温泉地域学会,日本温泉科学会,日本温泉協会
・2023/08/17温泉分析書マスターが語る。“p.H.”を「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読むか「ペーハー」と読むか。「ピーエイチ(ピーエッチ)」と読まないと若者には通じない?。
★・2023/02/21東北厳冬の秘湯4日間で復路欠航顛末記,秋田空港の冬の欠航率が高い件,不老ふ死温泉,新玉川温泉,乳頭温泉鶴の湯,酸ヶ湯温泉,谷地温泉,田沢湖,